通関士になるには?難しい?試験の受験資格やよくある質問を解説

通関士の試験を受験するために必要な受験資格について解説します。また通関士の価値や合格したらできることや実際の仕事内容についても合わせて解説します。通関士に合格するためのやるべき勉強の順番から具体的や勉強スケジュールの目安も合わせて解説します。

いきなり最終結論!通関士に必要な受験資格

通関士試験には、受験資格の制限が一切ありません。

年齢や学歴、実務経験を問わず、誰でも通関士試験に挑戦することができます。そのため、社会人として働きながら資格取得を目指す方や、学生のうちから通関士の資格に挑戦したいという方にも門戸が広く開かれています。

ただし、通関士として実際に働くためには、試験合格後に税関長への確認申請を行い、通関業者に所属した上で通関士として届け出る必要があります。試験に合格することと、通関士として業務を行うことは別のステップとなるため、その点は注意が必要です。

通関士は難しい?実際の難易度

通関士の実際の難易度を解説します。

合格率から見る通関士試験の難易度

通関士試験の合格率はおおよそ10%から20%程度で推移しており、国家資格の中でも難易度が高い部類に入ります。

直近の結果を見ると、2025年度の合格率は15.1%、2024年度は12.4%、2023年度は24.2%と、年度によって合格率に大きなばらつきがあります。これは試験問題の難易度が年によって異なることを意味しており、受験する年によって合格のしやすさが変わる可能性があることを示しています。

同じ貿易系の資格である貿易実務検定と比較すると、貿易実務検定のB級の合格率が50%前後であるのに対して、通関士試験の合格率はそれを大きく下回っています。通関士は貿易関連資格の中でもとりわけ難易度の高い資格といえます。

他の国家資格との難易度比較

通関士試験の合格率は、行政書士試験と同程度の水準です。

司法書士試験の合格率が3%から4%程度、社会保険労務士試験が6%から7%程度であることと比較すると、通関士試験の合格率はやや高めです。しかし宅建士試験の合格率が15%から17%程度、簿記2級が15%から25%程度であることを踏まえると、通関士試験は平均的な難易度を大きく上回る資格といえます。

また偏差値に例えると、通関士試験の難易度は明治大学や中央大学、青山学院大学といったいわゆるMARCHクラスの大学入試と同等とされています。難易度の目安として参考にしてみてください。

通関士試験の難易度が高い理由

通関士試験の難易度が高い主な理由は、試験の構造そのものにあります。

通関士試験は、通関業法、関税法等、通関実務の3科目すべてで満点の60%以上を獲得する必要があります。一つでも基準点を下回ると不合格になるため、特定の科目に偏った学習では合格できない仕組みになっています。

さらに、選択式問題では15個の選択肢の中から正解を選ぶ形式があり、選択肢の多さが正答率を下げる要因となっています。加えて、通関士試験では日常生活では耳にすることのない専門用語が数多く登場するため、それらを一から習得する必要がある点も難易度を高めています。

通関士の合格までにかかる平均的な勉強時間・期間

合格に必要な勉強時間の目安

通関士試験に合格するためには、一般的におよそ500時間程度の勉強時間が必要とされています。

同程度の合格率を持つ行政書士試験の合格に必要な勉強時間が600時間から1,000時間程度とされていることと比較すると、通関士試験は比較的短い時間で合格を狙える資格ともいえます。また、社会保険労務士試験では1,000時間程度、司法書士試験や税理士試験では3,000時間程度の勉強が必要とされており、それらと比較しても通関士試験の勉強時間は少ない部類に入ります。

宅建士試験の合格に必要な勉強時間が300時間から400時間程度とされていることを考えると、通関士試験の方が宅建士試験よりも難易度が高いことが勉強時間の観点からも裏付けられます。

合格までに必要な学習期間

500時間の勉強時間を確保するためには、学習期間の設定が重要です。

1日2時間の勉強を継続した場合、約250日で500時間に到達します。つまり、8ヶ月から10ヶ月程度の学習期間を設けることが一般的な目安となります。通関士試験は毎年10月に実施されるため、前年の12月や1月から準備を始めると余裕を持って試験に臨むことができます。

ただし、貿易業務の実務経験がある方や、関連する法律の知識をすでに持っている方は、学習期間を短縮できる場合もあります。自分の知識水準に合わせて学習計画を立てることが大切です。

通関士の実際の仕事内容

通関士の主な業務

通関士は、貨物を輸出入する際に必要な税関への申告手続きを専門的に担う職種です。

輸出入される貨物には、関税法をはじめとするさまざまな法令に基づいた申告と審査が求められます。通関士はその申告書類を作成し、税関に対して適切な手続きを行うことが主な仕事となります。企業が海外から商品を仕入れたり、海外に商品を販売したりする際に、通関士の存在は欠かせません。

また、輸入される貨物に対して課される関税額の計算や、関税の種類に応じた申告内容の確認なども通関士の重要な業務の一つです。正確な知識と慎重な判断が求められる、責任の大きな仕事といえます。

通関士が活躍する職場

通関士の主な就職先は、通関業者や航空会社、海運会社、フォワーダーと呼ばれる国際物流事業者などです。

通関業者は通関業務を専門とする企業であり、多くの通関士がこのような企業に所属して業務を行っています。また、大手の輸出入企業が自社内に通関部門を持ち、そこで通関士として働くケースもあります。貿易取引がグローバルに拡大している現代において、通関士の専門知識を持つ人材への需要は安定しています。

さらに、通関士の資格を活かしてコンサルタントや貿易アドバイザーとして独立する道もあります。資格取得後のキャリアパスが多様である点も、通関士という職種の魅力の一つです。

通関士になるまでの順番

ステップ1:試験の概要と受験申込

通関士になるための第一歩は、毎年10月に実施される通関士試験への申し込みです。

試験の申込期間は例年7月から8月にかけて設定されており、財務省や税関のウェブサイトから必要な情報を確認することができます。受験資格に制限はないため、申込みさえすれば誰でも挑戦することが可能です。試験当日に向けて学習計画を立て、3科目をバランスよく学習することが合格への近道となります。

ステップ2:通関士試験の合格

試験は通関業法、関税法等、通関実務の3科目で構成されており、それぞれの科目で満点の60%以上を獲得する必要があります。

試験形式は選択式、択一式、計算式の3種類があり、特に通関実務の科目では課税価格の計算や通関書類の作成に関する問題が出題されます。いずれかの科目で基準点を下回った場合は不合格となるため、全科目まんべんなく学習することが重要です。合格通知が届いたら、次のステップに進むことができます。

ステップ3:通関業者への就職と届け出

通関士試験に合格しただけでは、すぐに通関士として業務を行うことはできません。

合格後は通関業者に就職し、所属する通関業者を管轄する税関長に対して通関士の確認申請を行う必要があります。この手続きを経て初めて、通関士として正式に業務を行うことができるようになります。試験合格はゴールではなく、通関士としてのキャリアをスタートさせるための入口と捉えることが大切です。

通関士になるために必要な勉強内容

通関業法の学習

通関業法は、通関業者や通関士の業務に関するルールを定めた法律であり、通関士試験の3科目の一つです。

この科目では、通関業の許可制度や通関士の義務、禁止事項などが出題されます。法律の条文に基づいた問題が多いため、条文の内容を正確に理解することが求められます。配点は45点で、合格基準点は満点の60%にあたる27点です。

関税法等の学習

関税法等は、輸出入に関わる税関手続きや関税の仕組みを規定した法律をカバーする科目です。

関税法、関税定率法、関税暫定措置法など複数の法律が試験範囲に含まれており、3科目の中で最も配点が高く60点となっています。合格基準点は36点です。輸入申告の手続きや、関税の種類と計算方法など、実務に直結する内容が多く出題されるため、理解を深めながら学習を進めることが効果的です。

通関実務の学習

通関実務は、実際の通関手続きにおける書類作成や計算問題が中心となる科目です。

課税価格の計算問題や輸出入申告書の作成など、実践的なスキルが問われます。配点は45点で、合格基準点は27点です。特に書類作成の問題は1問あたりの配点が高く設定されているため、正確に回答できるよう繰り返し練習することが重要です。計算問題は練習を積むことで確実に得点できるようになるため、早い段階から取り組むことをおすすめします。

効果的な勉強方法

通関士試験の合格に向けては、テキストによるインプットと過去問演習を組み合わせた学習が効果的です。

まず基礎テキストで各科目の全体像を把握してから、過去問を繰り返し解くことで出題傾向を掴むことが重要です。通関士試験は毎年同じような形式の問題が出題される傾向があるため、過去問の演習は非常に有効な学習手段となります。また、独学に不安がある場合は通信講座や専門学校を活用することで、効率よく合格を目指すことができます。

通関士に関するよくある質問

通関士試験に科目免除制度はありますか?

通関士試験には、一定の条件を満たすことで一部の科目が免除される制度があります。

具体的には、税関職員として一定期間勤務した経験がある方や、通関業務に従事した経験がある方が科目免除の対象となる場合があります。科目免除を受けることができれば残りの科目に集中して学習できるため、合格率が高まる傾向にあります。ただし、免除対象となる受験者は全体の中でも少数であり、ほとんどの受験者は3科目すべてを受験することになります。

通関士と貿易実務検定はどちらを先に取得すべきですか?

貿易業界でのキャリアを目指している方には、まず貿易実務検定から取得することをおすすめします。

貿易実務検定のC級の合格率は65%前後、B級でも50%程度と比較的取得しやすい資格であり、貿易の基礎知識を体系的に習得することができます。その基礎知識を活かした上で通関士試験に挑戦することで、学習効率が上がることが期待できます。もちろん、最初から通関士試験に挑戦することも可能ですが、段階的にステップを踏むことで知識の定着がより確実になります。

通関士試験は独学で合格できますか?

通関士試験は独学での合格も十分に可能ですが、計画的な学習が不可欠です。

市販の参考書や過去問題集を活用することで、独学でも合格に必要な知識を習得することができます。ただし、500時間程度の勉強時間を確保する必要があるため、長期間にわたって学習を継続するための自己管理能力が求められます。効率よく合格を目指したい場合や、独学に不安を感じる場合は、通信講座や予備校を利用することも一つの選択肢です。自分の学習スタイルや生活環境に合わせた方法を選ぶことが大切です。

通関士の平均年収はどのくらいですか?

通関士の平均年収はおおよそ350万円から500万円程度とされています。

勤務する企業の規模や業種、経験年数によって年収には幅がありますが、専門性の高い国家資格であることから安定した収入を得られる職種です。大手の通関業者や航空会社、海運会社に勤務する場合は、年収が600万円を超えるケースもあります。また、通関士の資格に加えて英語力や他の貿易関連資格を持つことで、キャリアアップや年収アップにつながる可能性が高まります。

通関士試験の合格率が年によって異なるのはなぜですか?

通関士試験の合格率が年によって異なる主な理由は、試験問題の難易度の変化にあります。

過去10年のデータを見ると、最も低かった2016年度の合格率が9.8%であるのに対して、最も高かった2023年度は24.2%と大きな差があります。これは出題される問題の難易度や傾向が年度ごとに変化することを示しています。そのため、合格率だけを見て受験を判断するのではなく、しっかりと試験対策を行った上で挑戦することが重要です。どの年度であっても、十分な準備を整えることが合格への最短ルートとなります。